福岡地方裁判所 昭和57年(ワ)503号 判決
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【判旨】
原告は、本件各リース契約の際、被告が各リース期間のうち六〇ケ月を超える最後の一二ケ月分のリース料を負担する旨約したところ、本件各リース契約の合意解除(解約)に際し、原告が自己の計算で、各リース物件を訴外バロース株式会社に売却し、その代金を訴外オリエントリース株式会社に支払う方法で、訴外オリエントリース株式会社に、各七二ケ月分の残存リース料全額を支払い、リース契約関係を終了させたので、被告に対し、最後の各一二ケ月分のリース料に相当する合計六二四万円の支払を求める旨主張し、被告は、これを全部争い、本件各リース契約締結に際し、原被告間になされた約定は、七二ケ月のリース期間内であつても、原告が被告の販売機種を再度利用する場合には、六〇ケ月経過後にリース契約を解約し得るようにするというのにとどまり、その効果も、解約後のリース料の負担を免れるという以上のものではないこと、また、昭和五五年二月一〇日本件各リース契約が合意解除(解約)された際も、原告と訴外オリエントリース株式会社との間では、原告が預託中の各三ケ月分の前払リース料の返還請求権を放棄し、各リース物件を同訴外会社に返還することがなされただけで、七二ケ月のリース期間全額の残存リース料が支払われた事実がないこと、そして、右返還された各リース物件が訴外オリエントリース株式会社から同バロース株式会社に売却されたのに過ぎず、各前払リース料の返還請求権の放棄についても、各リース物件の返還が約三ケ月遷延し、その間原告の無償使用が許されていた結果、合意解除(解約)に伴う特別な条件になつていない旨主張する。
そこで、以下判断するに、<証拠ならびに>弁論の全趣旨、前記当事者間に争いがない事実を総合すると、次のように認めることができる。
すなわち、本件各リース契約のリース物件である電子計算機ユーザック八二〇、一式は、いずれも訴外ユーザック電子工業株式会社の製品であること、昭和五一年八月契約分の本件リース契約は、当初、被告の販売代理店である訴外システムマシン販売株式会社と原告との間で商談が進められたこと、右商談の内容は、訴外システムマシン販売株式会社がリース物件である電子計算機ユーザック八二〇、一式を第三者のリース会社に販売し、原告がリース会社からこれを賃借するについて、リース料金の基礎となるべき販売代金額その他を調整する点にあつたが、原告保有の旧機種の下取り代金額や右リース料金等の価格交渉が難航し、原告からリース期間が長過ぎるとの苦情も出されていたこと、そして、昭和五一年五月頃原告と右訴外会社間に、右販売価格を一、三八五万円、リース期間七二ケ月、リース料月額二七万円、訴外ユーザック電子工業株式会社に支払うべき保守料を年額七七万五、〇〇〇円とする、一応の合意が成立したこと、しかし、原告が右保守料をリース料金のなかに含めるべきことを主張し、その結果、右保守料捻出のため、リース会社への販売代金が減額されざるを得ず、販売利益がなくなることから、右訴外会社が契約関係より脱落し、以後、原被告間の直接折衝になつたこと、原被告間の話合では、最終的に右保守料を原告に負担させないようにすると共に、リース期間が七二ケ月であつても、六〇ケ月を経過すれば、契約事故につき被告がリース会社に支払うべきペナルティーが少額であることや、原告が再度被告の取扱機種を導入すれば、その販売利益が見込まれること等から、被告が原告に対し、六〇ケ月経過後の解約に責任を負う趣旨の合意をし、「原告は被告の指定するリース会社と七二ケ月のリース契約を締結するものとする。ただし、拘束は六〇ケ月とする。」との覚書(甲一号証)が作成されたこと、右のような経緯を経て、昭和五一年八月一〇日、被告がリース物件である電子計算機ユーザック八二〇、一式を、結局、代金一、〇二七万円で訴外オリエントリース株式会社に売却し、原告と同訴外会社間に右リース物件を目的とする前記昭和五一年八月契約分リース契約が締結され、また、同年一二月一〇日、同様に、被告が電子計算機ユーザック八二〇、一式を代金九七七万円で右訴外会社に売却し、原告と同訴外会社間に、これを目的とする前記昭和五一年一二月契約分リース契約が締結され、原告が右本件各リース物件を借受けたこと、なお、原告と訴外オリエントリース株式会社間の昭和五一年八月契約分のリース契約では、リース期間が同年八月一〇日以降七二ケ月(六年)、月額リース料二七万円(総額一、九四四万円)、前払リース料(最終の三ケ月分)八一万円、期間満了後の再リース規定損失金額二〇五万四、〇〇〇円、同様に、同年一二月契約分のリース契約では、リース期間が同年一二月一〇日以降七二ケ月、月額リース料二五万円(総額一、八〇〇万円)、前払リース料(最終の三ケ月分)七五万円、期間満了後の再リース規定損失金額一九五万四、〇〇〇円であつたこと、ところが、原告は、本件各リース期間の半ばで、容量の大きいより上級の電子計算機に取替える必要に迫まられ、被告からカタログを取寄せるなどしたのち、被告とは無関係に、昭和五五年二月一〇日訴外オリエントリース株式会社との間で本件各リース契約を合意解除(解約)し、同月一二日付で同訴外会社から、訴外バロース株式会社製の電子計算機一式を借受けたこと、本件各リース契約の合意解除(解約)は、原告が訴外オリエントリース株式会社に対し、解約弁済金として、昭和五一年八月契約分につき八一万円、同年一二月契約分につき七五万円を支払うことと(但し、各同額の前払リース料を右弁済金に充当する。)、本件各リース物件を同訴外会社に返還することを条件に成立したこと、そして、昭和五五年四月一五日付で、訴外オリエントリース株式会社と同バロース株式会社の間に、本件各リース物件のうち、昭和五一年八月契約分の電子計算機ユーザック八二〇、一式を代金四七〇万二、四〇四円、同年一二月契約分のそれを代金五〇六万六、九七二円でそれぞれ訴外バロース株式会社が買取る契約がなされ、その後、右代金が訴外オリエントリース株式会社に支払われたこと、もつとも、右合意解除(解約)は、昭和五一年八月契約分のリース契約が四二回分リース料支払後、同年一二月契約分のリース契約が三八回分リース料支払後になされたものであり、当初の七二ケ月の契約期間を前提にすると、前者の残リース料は三〇回分八一〇万円、後者のそれは三四回分八五〇万円であること、従つて、前者のリース契約についての解約弁済金八一万円とリース物件処分代金四七〇万二、四〇四円の合計五五一万二、四〇四円は、残リース料に二五八万七、五九六円不足し、期間満了時におけるリース物件の残存価格の目安になると考えられる再リース規定損失金額二〇五万四、〇〇〇円を考慮にいれれば、不足分は更に増加することになり、後者のリース契約についての解約弁済金七五万円とリース物件処分代金五〇六万六、九七二円の合計五八一万六、九七二円も、残リース料に二六八万三、〇二八円不足し、再リース規定損失金によるリース物件の残存価格一九五万四、〇〇〇円考慮にいれた場合、不足分が更に増加することは前同様であること、以上の各事実を認めることができる。
しかして、原告代表者本人尋問の結果のうち、本件各リース契約締結の際、被告が原告に対し、右認定のように、七二ケ月のリース期間であつても、六〇ケ月の拘束期間経過後の解約を保障したことを超えて、六〇ケ月経過後のリース料を被告が負担する旨約した、という部分は、原被告間の合意内容を記載した覚書(甲一号証)にそのような事項にまで触れられていないばかりでなく、右認定した契約に至るまでの経緯、及び証人大隈軍司、同曽川尚の各証言と対比して、そのまま措信することができず、他にこの点に関する原告の主張事実を認めるに足る証拠は存しない。 (田中貞和)